先日、新規のお客さまのご来店がありました。
お仕事の都合で、ご近所に越してこられ、うちのHPを見てご来店くださったようです。
ビールを飲みながら、焼酎のお品書きをペラペラ…(焼酎のお品書きは冊子と言っても過言ではない厚さ)
『焼酎にご興味おありですか!?』と声をかけました。
「全く飲んだことはないんですが、ネットを見ると大将のオススメを飲んだら美味しかったと書いてあったので、
後で飲んでみようかと思います。」とのお返事でした。
『いつでも気がむいたら声をかけてくださいね』
お食事も中盤…
「何か飲みやすいオススメの焼酎をください」との注文をいただきました。
ビールの後、リキュールも飲まれていたので…味覚の状態を考えて
黒糖焼酎を選びました。
「へぇ〜」なんておっしゃいながら…サクッと飲まれました。
そして、
「先ほどは《飲みやすい》を重視してくださったと思うので、次は飲みにくいもの…クセのあるものをください」
と注文をいただきました。
初めての方なので、同じ黒糖焼酎で違うタイプを選びました。
お持ちしたときに、少しお話したのですが…
(普段当たり前にしていますが、あえて言葉にしたとき…あらためて、『そうなんだよなぁ〜』と思いました。)
《飲みにくい焼酎》って多分…ピリッときたり、グッと喉にきたりの飲み口のことを言われているのだと思うのですが、
基本、うちの焼酎にはそういうタイプのものはありません。
全て2人で飲んで選んでいますので。そういうタイプのものは、はなから選び置いておりません。
特徴(クセ)のある焼酎はありますよ。
ちなみに、今も…同じ黒糖焼酎でのタイプの違うものをお出ししました。
どちらも飲みやすいと思いますが、飲まれた印象は全然違うと思います。
それにね…
飲み辛いものも、扱い方ひとつで飲みやすくすることはできるんですよ♪それが、私たちの仕事ですから。
でもね、
怖いのが、美味しい焼酎も扱い方ひとつで不味くなるんです。
残念ですけどね。
あえて、間にあったお客さまの言葉は省いて、私の言葉のみをあげてみましたが…
本当に!!そうなんですよね。
焼酎を美味しく飲んでもらうのも、不味く飲ますのも、扱う人間の心しだいなんですよね。
氷を入れればロック、
水を入れれば水割り、
お湯を入れればお湯割り、
と、単純作業で《割る》ことをするのか…
どのように《割る》=《味を伸ばす》を考えて、表現するのか…
第三者からみれば同じ行為に見えても、出来上がるものは全然違うのです。
先日、とある蔵元さんがご来店くださった時にもお話しましたが
蔵元さんは造りのプロ、私たちは扱うプロなんです。
蔵元さんがこの焼酎をどんな風に飲んでもらいたいと思っておられるのか、
どんな味わいを表現したいと思われているのか、
を理解するために、毎年九州に足を運んでいるのです。
理解できれば、自分の表現方法もみつけられますからね♪と。
焼酎を扱う人間の心次第で、まだまだ焼酎は広がり続けます。
売れない、飲んでもらえない…ではなく
飲みたくなる焼酎の提供を考えるべきなんです。
家飲みではないのです。
対価を頂いているのです。
対価に合う提供。
それが、
商いであり、
店が続く要素であり、
焼酎が広がり根付くことに繋がるのではと思います。
そして…
扱うプロならではの美味しさの表現を少しでもたくさん見つけていきたいと思う今日この頃です。
(携帯より)